
マンションの給湯器を交換したい! 賃貸の場合はどうすればいい?
給湯器は、毎日入るお風呂や、食器洗いに必要不可欠な機器です。いつも通りに使っていても、前触れなく、いきなり故障することもあります。急に故障して使えなくなってしまうと、生活に支障が出てしまうでしょう。しかし、マンションの場合は賃貸物件が多く、勝手な交換・修理が禁じられているので注意が必要です。
そこで本記事では、マンションの給湯器の基礎知識や交換時期・方法・業者選びのポイントなどについて詳しく説明します。
この記事を読むことで、マンションの給湯器を交換するために必要な情報を得ることができます。マンションに向いている給湯器や交換について知りたい方はぜひチェックしてください。
1.マンションの給湯器の基礎知識
給湯器の中にも、マンション・集合住宅向きの種類があります。一体どんな給湯器が向いているのか、交換する前にしっかりとチェックしておきましょう。
1-1.マンション・集合住宅向きの給湯器
マンション・集合住宅向きの給湯器は、大きくわけて屋外壁掛けタイプとPS設置タイプの2種類があります。
1-1-1.屋外壁掛けタイプ
屋外壁掛けタイプはマンション・集合住宅でよく見られるタイプです。給湯器本体の下面に配管接続がついているのが特徴で、中には本体と配管をつなぐ部分を配管カバーでおおっているものもあります。配管カバーでおおわれているタイプは、カバーごと新しいものに交換するのが一般的です。
1-1-2.PS設置タイプ
PS設置タイプはPS(パイプスペース)と呼ばれるスペースに取りつける給湯器で、あらかじめ給湯器を設置する空間があります。よって、交換可能な給湯器が限られており、取りつけるための専用の部品が必要なケースがあるのです。
1-1-3.機能
マンションの給湯器を交換する際は、今使用しているものと同じタイプのものを選ぶ必要があります。なぜなら、給湯能力をアップするなどマンションの管理組合が禁止している可能性があるからです。ほとんどのマンションでは、交換機種が限定されています。使用している給湯器の機能を踏まえたうえで交換してください。マンションの給湯器はフルオート機能またはオート機能のどちらかになるでしょう。フルオート機能はお風呂のお湯張り・追い焚き・足し湯・保温ができ、オート機能はお湯張り・追い焚き・保温が可能です。
1-2.設置場所
設置場所は給湯器の種類によって異なります。屋外壁掛けタイプはマンションのベランダ外壁に設置されていることが多く、PS設置タイプはベランダではなく外廊下の玄関通路側に設けられているものです。あらかじめ、どこに給湯器が設置されているのか確認しておくといいでしょう。
1-3.向いている号数
給湯器の号数は、水温に25℃を足した温度のお湯が1分間に出る量を表しています。たとえば、24号の給湯器の場合、1分間に水温+25℃のお湯が24リットル出せるというわけです。つまり、号数が大きいほど、同時に使えるお湯の量が増えます。基本的に、号数は家族の人数や使用するお湯の量によって選ぶものです。マンションの給湯器に向いている号数を、以下にピックアップしてみました。
- 16号:1~2人家族向き。ワンルームに設置されていることが多い
- 20号:シャワーとキッチンで同時にお湯が使える。2~3人家族向き
- 24号:シャワー・キッチン・追い焚きが同時にできる。4~5人家族向き
1-4.戸建て・住宅タイプとの違い
戸建て・住宅タイプとマンションタイプの大きな違いは、設置場所です。戸建て・住宅タイプはお風呂場の近くに設置することが多く、ほとんどが地面据え置きタイプになります。しかし、マンションはベランダまたは外廊下の玄関付近に取りつけられていることが多いのです。また、サイズも戸建てよりコンパクトなものが見られます。
1-5.メーカーや価格など
給湯器のメーカーといえば、リンナイ・ノーリツ・パロマの3社が挙げられます。中でも、抜群の知名度を誇っているのがリンナイです。リンナイは消費電力を抑える機能が特徴で、エコ給湯器の一種である「エコジョーズ」に人気が集まっています。エコジョーズはガス・二酸化炭素の量が従来よりもおよそ12%削減できるガス給湯器です。業界最大手といわれているノーリツは、高い熱効率が特徴で、灯油節約ができるエコフィールを扱っています。そして、パロマは幅広い層に人気があるメーカーで、高温水供給・防止装置・音声お知らせ機能など細かい機能が特徴です。それぞれのメーカー・種類によって価格は異なりますが、およそ120,000円~160,000円が目安になります。
2.マンションタイプの給湯器の交換時期
できれば、給湯器が故障する前に交換しておきたいですよね。そこで、寿命・交換の目安・故障のサインについて詳しく説明します。
2-1.給湯器の寿命
給湯器の平均寿命は、およそ8年~10年といわれています。使用頻度が多く、間違った使い方をしていると、8年以内で壊れる可能性もあるため注意が必要です。また、給湯器の部品保有年数が製造終了時より10年と決まっています。そのため、10年以上使い続けている給湯器を修理したくても、必要な部品が用意できない可能性もあるのです。使用年数が10年以上経過しているものは、交換したほうがいいでしょう。
2-2.交換の目安
現在の給湯器をいつから使っているのか、使用年数が交換の目安になります。平均寿命である8年~10年以上使用している給湯器が使いづらいと感じたときは、交換したほうがいいでしょう。また、以下の項目に当てはまる場合も交換時期の目安となるのでぜひ参考にしてください。
- 異音がする
- 給湯温度にムラがある
- 設定温度よりもお湯がぬるい
- 追い焚きができなくなった
2-3.交換・故障のサイン
普段とは異なる症状が目立ち始めたら、交換のサインだと思ってください。特に、給湯器からガスの臭いがする・黒煙が出るなどの故障は、火災・爆発の危険があります。不完全燃焼を起こしている可能性が高いため、自分でいじらずに、すぐ専門業者やメーカーに連絡してください。不安な気持ちのまま使い続けるよりも、きちんと不具合・不調の原因を調べてもらったほうが安心して使うことができます。
3.マンションの給湯器交換の方法
複数の家庭が1つの屋根で暮らしている場所がマンションです。近隣や管理人とのかかわりが強くなるからこそ、給湯器の交換にも決まりがあります。賃貸・分譲の場合や管理組合などについて詳しくチェックしておきましょう。
3-1.賃貸の場合
賃貸の場合は、管理人・オーナーまたは管理会社に連絡しなければなりません。あくまで住宅設備は貸し主の持ちものになります。入居者が勝手に交換することは規約違反となるため注意してください。また、交換費用は借り主が負担する必要はありません。しかし、借り主の故意で壊れた場合は費用を負担することもあるので話し合いが必要です。通常の経年劣化・故障であれば貸し主負担となります。費用にかんしてもきちんと確認したほうがいいでしょう。
3-2.分譲の場合
分譲の場合は、住宅設備のすべてがマンション購入費用に含まれています。そのため、給湯器の交換費用は入居者が支払わなければなりません。故障した際は自分で業者やメーカーに連絡をして、見積もりを出してもらい交換しましょう。分譲は賃貸と異なり、自分で給湯器の機能を選ぶことができます。従来のものよりも高機能の給湯器に交換可能です。
3-3.管理組合
管理組合とは、分譲マンションの購入者全員が建物・敷地・付属施設の管理を行うために構成する組織のことです。マンションを購入すれば区分所有者となり、無条件で管理組合員になります。しかし、実際のところは管理会社がマンションの管理業務を行っていることが多く、給湯器交換の際は管理会社に連絡するのが一般的です。マンションによって給湯器の設置場所やサイズに制限があるため、必ず事前に連絡してください。
3-4.注意点
マンションには複数の家庭が集まっていることを忘れてはいけません。「自分の家だけ良ければいい」という考え方を持っていては、給湯器を交換する際に管理組合やオーナーとトラブルになる可能性があります。マンションによっては、取りつけ可能な給湯器の上限や機能・規約が決まっているため、交換・修理には必ず管理会社または管理組合の許可が必要です。無断で交換・修理をすると、規約違反となるので注意してください。
4.マンションの給湯器交換工事について
実際に、給湯器の交換工事を行う場合、費用はいくらぐらいになるのでしょうか。修理・交換それぞれの平均費用や業者選びのポイントについて詳しく説明します。
4-1.工事期間と費用の目安
マンションの給湯器交換の工事は半日で終了することがほとんどです。しかし、繁忙期や給湯器本体を取り寄せるまでの時間が必要な場合、2日~1週間ほど待たなければならないこともあります。特に、エコジョーズなどのエコ給湯器は、大がかりな工事になる可能性があるでしょう。普通の給湯器よりも工期が長くなるため、事前に業者・メーカーに確認してください。また、マンション給湯器の工事にかかる目安費用は以下の通りです。
- ガス給湯器 36,000円~
- エコジョーズなどのエコ給湯器 40,000円~
高機能の給湯器や別途特殊工事が必要になるほど、工事費用も高くなります。具体的な工事費用については、事前の見積もりで細かくチェックしておきましょう。
4-2.故障の場合
「いつも通りに使っていたのに急に壊れた」という方は多いでしょう。急な故障が起きたときに、最初に確認してほしいのが保証期間です。メーカー・業者の保証期間内であれば、無償で修理ができます。保証期間1~2年に設定されていることが多いのですが、しっかり確認しておいたほうがいいでしょう。保証期間がすぎている場合は、修理にどのくらいかかるのか見積もりを出してもらってください。故障内容によっては、交換よりも修理にお金がかかることもあります。交換した場合の費用と見比べながら判断したほうが賢明です。
4-3.修理の場合
給湯器の修理内容によって費用が異なります。よくある修理内容と費用を以下にまとめてみました。
- 電気トラブル:6,000円~46,000円
- リモコントラブル:15,000円~38,000円
- 燃焼系の異常:17,000円~33,000円
- 安全装置の不具合:8,000円~58,000円
- 水流弁などの異常:10,000円~35,000円
複数に異常が見られた場合はそれだけ費用も加算されます。また、修理・交換業者によっては修理費+出張費がかかるところもあるので注意が必要です。
4-4.業者選びのポイント
給湯器の販売・修理・交換を行っている業者は多数存在しています。その中からどこに依頼すべきか、悩む方は多いのではないでしょうか。悩んだときは、以下のポイントに注目して選んでください。給湯器がスムーズに交換できるかどうかは、業者選びにかかっています。
- 丁寧かつスピーディーな対応
- 最新モデルまで多種多様の給湯器がそろっている
- 低価格で給湯器が購入・交換できる
- 取り扱っているメーカーが多い
- 即日対応が可能
- 工事保証などアフターサービスが充実している
5.マンションの給湯器に関してよくある質問
マンションの給湯器に関してよくある質問を5つピックアップしてみました。
Q.管理組合・管理会社に連絡する前にチェックすべきことは?
A.給湯器の機種・号数・設置形態は必ずチェックしておかなければなりません。マンションは使用できる機種・号数が限定されているため、きちんと把握しておかなければ後でトラブルに発展します。管理組合・管理会社とトラブルにならないためにもメモしておきましょう。機種・号数などは給湯器の下面や側面に記されています。
Q.工事は有資格者がしてくれるのか?
A.優良業者は給水装置工事主任技術者や第二種電気工事士・ガス機器設置スペシャリストなどの有資格者が工事を担当しています。工事を行う前に有資格者かどうか、資格証を見せてもらうといいでしょう。無資格者が工事を行っている業者は高確率で悪徳業者です。
Q.給湯器の選び方は?
A.マンションの規約を十分に確認した後、家族の人数や条件に合わせて給湯器を選んでください。わからない方は管理組合・管理会社・業者と相談しながら決めるといいですよ。優良業者は依頼者の要望に合った給湯器を選んでくれます。
Q.給湯器工事の繁忙期はいつか?
A.11月~3月が繁忙期です。冬場は給湯器のトラブルが増えるため、業者も慌ただしくなります。すぐに修理をお願いしたくてもできないケースがあるかもしれません。
Q.エコジョーズに交換はできるのか?
A.エコジョーズの場合、ドレン排水の専用配管工事が必要になります。そのため、共有部分への排水配管工事ができるか、浴室内へ排水できる機種へ交換ができるかが大きなポイントとなるでしょう。どちらかの工事が不可な場合は、エコジョーズへの交換ができません。
まとめ
マンションの給湯器交換は機能・サイズ・給湯能力などに制限があります。賃貸・分譲にかかわらず、交換・修理を行う前に管理組合または管理会社へ連絡しなければなりません。勝手に交換・修理をしてしまうと、規約違反とみなされトラブルになってしまいます。スムーズに交換するためにも、きちんとマンションの規約・ルールを把握しておきましょう。
また、給湯器交換の際は、工事保証期間などのアフターサービスが充実している業者を選んでください。工事後に不具合が起きても、無償で対応してくれます。スムーズに給湯器を交換するためにも、事前に必要な知識と情報を知ることが大切です。
もしこの記事が役に立ったら、記事下のボタンを押してシェアしてくださいね。