ガス給湯器の設置基準

ガス給湯器の設置基準と設置場所の重要性について知ろう!

ガス給湯器は、どこでも設置できるわけではありません。機器本体や排気吹出口からの離隔距離・排気吹出口と窓の位置関係など、設置基準が決められています。

設置基準が決まっているのは、十分な機能が発揮できないだけでなく、火災・爆発など大事故に発展する恐れがあるからです。だからこそ、きちんと知識と資格を持った作業員が設置する必要があります。

本記事では、そんなガス給湯器の設置基準について解説していきましょう。

  1. ガス給湯器の設置で押さえておきたい基礎事項
  2. ガス給湯器の設置基準をチェック!
  3. ガス給湯器の設置業者の選び方
  4. ガス給湯器の設置に関してよくある質問

この記事を読むことで、ガス給湯器の設置基準や業者選びのポイントなどが分かります。設置を検討している方はぜひチェックしてください。

1.ガス給湯器の設置で押さえておきたい基礎事項

最初に、ガス給湯器の設置に関する基礎事項をチェックしておきましょう。

1-1.屋外設置タイプと屋内設置タイプがある

ガス給湯器はガスを燃料とした給湯器のことで、電気・石油給湯器よりも需要が高い種類です。設置場所によって、屋外設置タイプと屋内設置タイプに分かれます。

まず、ガス給湯器を選ぶ際に考えなければならないのは、この屋外と屋内どちらに設置するかです。屋外は天候の影響を受けやすく、冬場は凍結の恐れがあります。

一方、屋内はガスの燃焼で安全性が問われるでしょう。どちらか選ぶ際は、それぞれのメリット・デメリットに加え、居住地域の特徴を踏まえた上で決めることが大切です。また、それぞれのタイプは、さらに以下の細かい種類に分かれます。

屋外設置タイプ

  • 壁掛型
  • 据置型
  • パイプシャフト型

屋内設置タイプ

  • 自然排気式(CF式)
  • 強制排気式(FE式)
  • 自然吸排式(BF式)
  • 強制給排気式(FF式)

1-2.設置スタイルは壁掛型と据置型

ガス給湯器を設置スタイルで区別すると、主に、壁掛式と浴室据置型の2種類があります。屋内・屋外でそれぞれ設置スタイルが異なり、屋内の場合は排気口が人よりも高い位置でなければならないので壁掛型が基本です。一軒家など設置スペースが確保できる場合は、据置型にすることもできます。ただし、スペースが狭いマンション・アパートの場合は壁掛型がほとんどです。

1-3.ガス給湯器の機能を発揮するための設置場所

ガス給湯器の設置で場所が重要視されるのは、給湯器自体の機能に大きく関係しているからです。ガス給湯器(排気口)の近くに障害物があると、十分な能力が発揮できなくなります。必要な空気が吸収できなくなると、給湯器内で不完全燃焼が起こるリスクが高くなるのです。無理のない吸排気をさせるためには、設置場所を考慮する必要があります。

1-4.安全に使うために重要

給湯器自体の機能を発揮させるためでなく、安全性を確保するためにも設置場所が重要です。ガス給湯器はガスが燃料となっているため、十分に気をつけて扱わなければなりません。誤った場所に設置し不完全燃焼が起きると、一酸化炭素が発生します。知らないまま過剰な量の一酸化炭素を吸い込んでしまえば、死に至るケースもあるので注意が必要です。ガス給湯器の安全性を確保するためにも、設置場所の基準が細かく決められています。

2.ガス給湯器の設置基準をチェック!

それでは、設置前に知っておきたいガス給湯器の設置基準をチェックしていきましょう。

2-1.ガス給湯器本体と建物・障害物との距離

ガス給湯器を正しくかつ安全に使うため、建物や障害物との離隔距離が消防法に基づいて決められています。上方・前方・後方・側方の距離は以下のとおりです。

  • 上方:排気口から300mm(不燃材の場合も同じ)
  • 前方:600mm
  • 後方:10mm
  • 側方:150mm(不燃材の場合は45mm)

上記の寸法以上離して設置することが義務づけられています。また、設置当初は周囲に障害物がなくても、後で植木鉢や物干し竿(ざお)などを近くに置いてしまうことがあるでしょう。周囲に障害物がある状態のまま使用すると、空気の流れが停滞し不完全燃焼を起こす恐れがあるので、設置後も十分に気をつけておきましょう。

2-2.排気吹出口からの離隔距離

ガス給湯器の設置場所は、建物や障害物との距離だけでなく、排気吹出口からある程度距離を取らなければなりません。また、屋内設置タイプの場合は、排気筒トップから600mmの範囲内に障害物を置くのはNGです。排気筒トップが下向きになっている場合は、特に荷物などを周辺に置かないようにしておきましょう。そのほかの離隔距離は以下のとおりです。

  • 上方:排気口から300mm
  • 下方:排気口から150mm
  • 前方:600mm
  • 側方:150mm

2-3.屋内設置の場合、排気筒にも設置基準がある

屋内設置タイプの場合は、排気筒を使って排気する仕組みです。そのため、排気筒に関しても細かい設置基準が定められています。前述した排気方式の種類によって内容が異なるので注意してくださいね。

FF式・FE式の場合

  • 排気筒の機器から立ち上がり部を1m以内に抑える
  • 排気筒を横に延長する場合は、1/50の勾配をつける(結露がガス給湯器側に流れるのを防ぐため)

CF式の場合

  • 排気筒トップを風圧帯の範囲外に設置する(排気筒内に空気が逆流しないようにするため)

2-4.排気吹出口と窓の位置関係

ガス給湯器から排出される汚れた空気が室内に入り込まないようにするため、排気吹出口と窓の位置関係にも細かいルールがあります。排気吹出口と窓の位置関係で定められているのは、以下の基準です。

  • 上方:排気口から300mm
  • 下方:排気口から150mm
  • 前方:600mm
  • 側方:150mm

また、排気口が排気カバーによって上部を向いている場合は、ガス給湯器の上にある窓から室内に侵入しやすい傾向があります。そのため、排気カバー端から窓まで600mm以上離れた位置に給湯器本体を設置しなければなりません。

2-5.設置基準を遵守しないと大事故につながる

いくつものガス給湯器の設置基準がありますが、これらを正しく守らなければ大事故につながる恐れがあります。ガス給湯器で1番懸念すべきことは、不完全燃焼です。前述したとおり、実際に設置場所によって不完全燃焼が起こり、一酸化炭素中毒で病院に運ばれたケースが起きています。

また、不完全燃焼が何度も発生すると給湯器にインターロックがかかり、メーカーに修理を依頼するまで使えなくなってしまうのです。さらに、ガスは引火しやすい特徴を持っているので、火事や爆発を引き起こす可能性もあります。

3.ガス給湯器の設置業者の選び方

ガス給湯器を正しい場所へ設置するためには、なるべく実績がある業者へ依頼することが大切なポイントです。ここでは、設置業者選びのポイントなどを紹介しましょう。

3-1.業者選びのポイント

どの設置業者へ依頼すべきか悩みがちですが、ポイントを踏まえておけば優良業者が見つかりやすくなります。以下にポイントをいくつかピックアップしたので、ぜひ業者選びの参考にしてください。

  • ガス給湯器の設置工事に長(た)けているか
  • 知識が豊富で有資格者が工事を担当しているか
  • 無料相談や無料見積もりを受けつけているか
  • 低費用かつ高品質なサービスを提供しているか
  • 全国対応で即日工事が可能か
  • 工事保証が充実しているか
  • 評判や口コミがいいか
  • 見積書の内容が細かく記載されているか
  • 料金設定が明確になっているか
  • スタッフの対応が丁寧でスピーディーか
  • 多種多様のガス給湯器がそろっているか

設置業者の中には、高額な料金を請求しては適当な場所に設置する業者が存在しています。悪徳業者は具体的な説明をしない・見積書の内容がいい加減・スタッフの対応が悪いなどの特徴があるので注意してください。

3-2.設置費用はおよそ3~4万円

ガス給湯器の設置にかかる費用は、およそ3~4万円です。あくまで目安となるため、設置場所や業者によってはもっとかかる可能性があります。

また、この値段は設置工事費のみの場合です。そこへ、新しい給湯器の費用が追加されることになるため、10万円ほど見積もったほうがいいでしょう。エコ給湯器に交換する場合は、一般的な給湯器よりも一段と高くなります。

3-3.費用を抑えたいなら工事費込みのパック商品がおすすめ

なるべく費用を抑えたい場合は、工事費込みのパック商品を検討してください。パック商品は工事費と給湯器代がセットになっています。給湯器の種類や業者によっては、6万円以内で抑えられる可能性もあるでしょう。

4.ガス給湯器の設置に関してよくある質問

ガス給湯器の設置に関する質問を5つピックアップしました。

Q.戸建てとマンションで設置場所に違いはあるのか?
A.戸建てはマンションよりも設置スペースが大きめなので、設置場所に関して自由度が高めです。ガス給湯器の周辺環境がしっかり整っていれば、屋内・屋外どちらとも設置できるでしょう。念のために、屋内の爆発・火災を避けて屋外に設置するケースがほとんどです。
一方、マンションの場合は管理規約に沿って設置しなければならないため、戸建てよりも設置場所が制限されます。ガス給湯器の種類や容量、配管工事などが細かく決まっているので自由に選択することはできません。

Q.マンションの給湯器を交換する際の注意点は?
A.前述したとおり、管理規約を守らなければ契約違反となります。また、交換する前に、管理会社や管理人へ報告しておかなければなりません。自分勝手に交換すると、違約金の支払いが発生する恐れもあるので要注意です。契約時に交わした管理規約が手元にあれば、一読してから連絡してください。管理規約がない場合は、管理会社または管理人に連絡したてから、設置を検討しましょう。分からないことがある場合も、必ず確認することが大切ですよ。

Q.自分で設置工事はできるのか?
A.基本的に、ガス給湯器の設置工事はDIYできません。ガス給湯器には、電気配線・ガス管・水道管が設置されているので、これらの専門知識を持っている人でないと作業は困難です。特に、電気管とガス管の扱いは非常に危険で、失敗すると感電・火災・爆発を引き起こすきっかけになるでしょう。また、液化石油ガス設備士など、ガス器具に関する資格を取得している人だけしか工事ができないことになっています。自分で設置工事をするのは絶対にNGですが、業者選びの際にも、有資格者が工事をしてくれるか確認しておかなければなりません。有資格者の在籍は、業者選びの大きなポイントとなります。

Q.工事はどのくらいかかるの?
A.一般的に、設置工事は半日~1日で完了しますが、大がかりな工事が必要な場合は2~3日かかることもあります。気になる方は、打ち合わせの段階できちんと確認しておいたほうがいいでしょう。また、希望する給湯器の種類によっては、すぐに用意できない場合があります。発注してから準備が整うまで数日要する可能性があるので、その点もしっかり確認してください。

Q.設置工事に追加料金がかかるケースは?
A.給湯器の設置場所を変更するケースです。移動距離に応じたすべての配管・配線工事にかかる費用が追加されます。また、給湯器の機種を変更するケースも追加料金がかかるでしょう。ほかにも、設置方法を変更する・給湯器の配管や部材が劣化している・給水栓のバルブが壊れているケースも追加料金が発生します。

まとめ

ガス給湯器を設置するときは、必ず設置基準を守らなければなりません。設置場所や距離などによって、火災や爆発などの大事故が発生する恐れがあるためです。

また、ガス給湯器は設置場所によっては効率が悪くなることもあります。設置前には、必ず業者に相談し、基準を確認することが大切です。

本記事では、ガス給湯器の設置基準や、設置場所の選び方、設置に必要な資格や業者選びのポイントについて詳しく解説します。安全で快適な給湯ライフを送るために、ぜひ参考にしてみてください。